根管治療
根管治療は、神経までむし歯が進行している場合に必要な治療です。歯の神経(歯髄)が入っている「根管」から汚染された神経を取り除いて根管内を洗浄・殺菌し、隅々まで薬剤を充填したあとに蓋をして、最後に被せ物(クラウン)を装着して歯の機能を回復します。 根管治療では、細菌に汚染された組織を完全に除去しないと、またすぐに再発してしまうリスクがあるため、慎重に治療を行う必要があります。根管治療が終わった後に再発をした場合は重症化しやすく、最悪の場合には抜歯を免れないケースも多くあります。
根管治療の流れ
Step1感染した神経の除去
細菌に汚染された神経や血管などの組織や付着した汚れを除去します。
Step2根管内の洗浄・殺菌
根管内を洗浄・殺菌し、無菌状態にします。
Step3薬剤を充填
無菌状態の根管内に薬剤を充填し、細菌の侵入を防ぐため完全密封します。
Step4被せ物(クラウン)の装着
被せ物を装着して、歯の形状と機能を回復させます。
根管治療の必要性
根管治療は歯の寿命を長くするための基礎工事
歯の根っこ(根管)は、歯を支えるための土台の部分です。建物に例えると分かりやすく、基礎工事がしっかりしていない建物は、どんなに立派な見た目をしていても、いずれ倒壊してしまう可能性があります。 それは歯も同様で、土台である歯の根っこがしっかりしていなければ、どれだけ立派な被せ物を作製しても、すぐに外れてしまったり壊れてしまったりします。まずは何よりも土台をしっかりと整えることが重要です。
マイクロスコープによる根管治療
根管内はとても細かく複雑な形状をしているため、治療が難しく、汚染された神経や血管を根管内から完全に取り除くためには非常に高度な技術が必要になります。万が一、根管内に細菌が残ってしまった場合は、再治療が必要となってしまいます。 溝の口・髙津デンタルクリニックでは、肉眼で見るよりも約20倍視野を拡大することができるマイクロスコープを使用して根管内を拡大し、肉眼では見えない細部までしっかりと確認をしながら治療を行うことで、より高精度な治療を行っております。
ラバーダム防湿の必要性
当院では、汚染された根管の治療を行う際には、必ずラバーダム防湿を使用し、マイクロスコープで確認しながら治療を行っています。
根っこの治療(根管治療)時にラバーダム防湿というゴム製のシートを使用した場合、治癒率は96%という報告があります。(繰り返し再発した歯に関しては、残念ながら再発を繰り返すごとに治癒率は低下してしまいます。) 一方、ラバーダム防湿を使用せずに治療を行った場合は、50~70%の歯が再発しているというデータもあります。
この場合、50~70%という数字は「治癒率」ではなく「再発率」です。 当院では、根っこの治療(根管治療)の際には、必ずラバーダム防湿を使用いたします。
唾液の中には無数の細菌が含まれているため、治療する歯とラバーダム防湿の隙間から唾液による感染がないよう、特殊な樹脂で隙間を塞ぎ、治療を行う歯のために手術室の環境を整えます。 ラバーダム防湿を使用せずに治療を行うということは、細菌に汚染された環境で手術を行うのと同じことです。これでは、例え手術が成功したとしても、再発のリスクが非常に高くなってしまいます 根管治療は、もともと細菌が存在しなかった場所にアプローチするという点で、外科手術とよく似ています。そのため、根管治療を行う際には必ず手術室の環境を整えた上で治療に取り組みます。